第1041号 ヒトT細胞白血病ウイルス1型総合対策を求める意見書
議決年月日:平成22年12月14日
議決結果:可決
ヒトT細胞白血病ウイルス1型総合対策を求める意見書
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)とは、致死率が高い成人T細胞白血病(ATL)や、排尿・歩行障害を引き起こすHTLV-1関連脊髄症(HAM)の原因ウイルスである。
国内の感染者は百万人以上と推定され、ATLで年間約千人が命を落とし、HAM発症者は激痛やまひ、歩行障害に苦しんでいるが、いまだに根本的な治療法は確立されていない。
現在の主な感染経路は、主に母乳を介する母子感染と性交渉による感染であり、母子感染が六割以上を占めている。また、発症するまでに四十年から六十年と期間が長いことが特徴である。そのため、自らが感染者であると知らずに子どもを母乳で育て、後に自らが発症して初めて我が子に感染させたことを知らされるケースがあり、母親の苦悩は言葉では言い表せないものがある。
すでに、一部自治体においては、妊婦健康診査時に抗体検査を実施し、陽性の方には授乳指導を行い、感染拡大の抑制に取り組んでいたが、国においても、平成二十二年十月にHTLV-1抗体検査を妊婦健康診査の標準的検査項目に追加し、公費負担の対象とする旨、各自治体に通知したところである。
よって、国においては、HTLV-1関連の予防、感染拡大防止対策を総合的に推進するため、次の措置を早急に講じるよう強く要望する。
記
一 HTLV-1母子感染に係る抗体検査体制、保健指導・カウンセリング体制の整備、感染者及び発症者のための相談支援体制の充実等に必要な財源措置を十分に講じること。
二 国民に対する正しい知識の普及と理解の促進を図ること。
三 感染者及び発症者のための診療拠点の整備を推進すること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十二年十二月十四日
栃木県議会議長 野 田 尚 吾
内閣総理大臣
厚生労働大臣 あて
衆参両院議長