第1021号 生産性の高い競争力に富んだ農業者の育成を求める意見書
議決年月日:平成22年3月24日
議決結果:可決
生産性の高い競争力に富んだ農業者の育成を求める意見書
政府は、平成二十二年度予算で米戸別所得補償モデル事業と水田利活用自給力向上事業を導入するとしているが、土地改良事業費の大幅削減を始めとして農村現場では大きな混乱を招いている。
これまで政府が推進してきた担い手農家や集落営農の位置付けが不透明なこと、平成二十三年度からの本格導入に向けての財源確保が困難視されていること、貸しはがし等により農地集積が進まないこと、米の過剰対策や米価下落対策が講じられていないこと、全国一律単価では地域の産地形成が進まないこと、米以外の果樹・野菜、畜産・酪農を含めた農業全体の所得補償制度の将来像が見えないことなど、多様な農業の展開を阻害し、地域の元気が失われることへの強い懸念がある。特に今回の農政転換に当たって、地方の農村現場の意見を事前に聞くことなく、拙速に制度設計が進められたことが大きな混乱の原因となっている。
よって、国会及び政府においては、以下の点に十分留意し、生産性の高い競争力に富んだ農業者の育成を進める施策の充実を行うよう、強く要望する。
記
一 食料・農業・農村基本計画の策定に当たっては、生産性の高い担い手農家や集落営農を推進すべき政策として明確に位置付けるとともに、農地集積の加速化、価格保障など農家所得の向上に配慮すること。
二 米戸別所得補償モデル事業では米余りと米価下落を招く懸念があることから、しっかりとした出口対策を講じるとともに、米の消費拡大に努めること。
三 全国で多様な農業が展開されていることから、水田利活用自給力向上事業では全国一律単価ではなく、地域主権の理念に沿った地域の話し合いで決める方式を基本とすること。
四 大幅な予算削減となった農業農村整備事業は食料の安定的供給には欠かせないものであることから、予算の復元により、現在進められている事業が計画どおり実施できるようにするとともに、箇所付けの基準を明確にすること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十二年三月二十四日
栃木県議会議長 青 木 克 明
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
農林水産大臣 あて
国家戦略担当大臣
内閣官房長官
衆参両院議長