第1007号 八ッ場ダムの建設推進を求める意見書
議決年月日:平成21年11月30日
議決結果:可決
八ッ場ダムの建設推進を求める意見書
八ッ場ダムは、下流都県に住む四百八十万人を洪水被害から守るとともに、首都圏約四百三十万人の都市用水を開発することを目的に、国と地元住民、一都五県との約束のもとに行われている共同事業であり、本県にとっても、利根川の氾濫区域に含まれる渡良瀬川右岸の足利市、佐野市及び藤岡町の一部地域を洪水被害から守る上で必要不可欠な施設である。
地元水没関係住民は、昭和二十七年の建設方針提示以来、激しい反対闘争や長い歳月にわたる議論を経て、苦渋の選択としてダム事業を受け入れてきたところであり、また、総事業費四千六百億円のうち平成二十年度末までに三千二百十億円が執行され、平成二十七年度の完成に向け、残すところ本体工事費と生活再建事業費の千三百九十億円で完成する状況である。
しかしながら、九月に発足した新政権により、「無駄の見直し」の名の下、関係自治体への連絡調整もなく、「政権が替わった、マニフェストに記載されている」ことのみを理由にダム建設が中止されることは、関係一都五県の状況はもとより、ダムの完成を前提とした住宅建設など、新生活へ向けて既に歩み出した地元住民の心情を無視した暴挙と言わざるを得ず、この段階に至っての中止は断じて容認できるものではない。
たとえ政権が替わっても、八ッ場ダムがもつ治水及び利水上の極めて重要な役割は変わるものではない。
よって、国においては、これまでの経緯を十分に斟酌するとともに、全ての関係者が八ッ場ダムの早期完成を望んでいるという実態を十分認識し、下記の事項を実現するよう強く要望する。
記
一 八ッ場ダム建設事業の中止を撤回し、国の責任において事業の推進を図り、予定どおりに全事業を完成させること。
二 地元住民の生活再建事業のためには、ダム湖の完成、国道・JR付け替え等の工事の一日も早い完成が必要であり、最大限の努力のもとで取り組むこと。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十一年十一月三十日
栃木県議会議長 青 木 克 明
内閣総理大臣
財務大臣 あて
国土交通大臣
衆参両院議長