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請願・陳情 議決結果一覧

詳細情報

請願・陳情名

第45号 (平成22年) 「塩原視力障害センターの存続を求める意見書」提出に関する陳情

受理年月日

受理日:平成22年9月3日

付託委員会

付託委員会:生活保健福祉委員会
付託日:平成22年9月30日

紹介議員

議決結果

議決日:平成22年12月14日
議決結果:採択

内容

要旨
1 陳情の趣旨
 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局塩原視力障害センター(以下、「塩原視力障害センター」)を存続させ、平成23年度の就労移行支援の利用者募集を継続することを国に要望していただきますよう陳情いたします。
2 陳情の理由
 私たち塩原視力障害センターの利用者、卒業生、約300名の地域住民らで作る「塩原視力障害センターの存続を求める会」は、塩原視力障害センターの存続を求めて、各方面に働きかけを行っております。
 塩原視力障害センターは、宮内庁の旧塩原御用邸に、昭和21年、中途失明者更生施設として開設されたものです。以来64年、同センターは、点字・歩行などの自立訓練、あんま・はり・きゅう師養成及び生活施設を提供し、約3千人を社会復帰させてきました。現在は障害者自立支援法に基づく施設として中途視覚障害者に対し自立訓練、就労移行支援を行っております。
 ところが、昨年9月に、塩原視力障害センターが平成24年度をもって廃止されると、突然告げられました。その主な理由は、外部有識者による「国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会」(以下、「あり方検討会」)報告書において、「利用実態等を踏まえ、全国的な視点に立って施設の統廃合を含む再配置を考えるべき」旨の提言を受けていることと、利用者減であるとしています。
 私達は、利用者減少の主な原因は、平成18年に施行された「障害者自立支援法」によるものが大きいと考えています。特に平成18年以降の減少が急激になっていることから、同法施行により自己負担が増え、施設利用をすることができない視覚障害者が増えたものと考えています。自己負担が軽減された今年4月以降、塩原視力障害センターの利用相談件数が増加してきていることは、利用者減の主な原因が障害者自立支援法の自己負担増であることを裏付けており、また「障害者自立支援法」に代わる障害者施策が検討されている今、利用者減を理由に施設の廃止を進めることは、弱者切り捨てにつながってしまうものと考えます。また、利用開始するまでに十分な情報を得られずに時間がかかってしまう事例が多く見られます。このことは、具体的な福祉サービスの利用について、国から自治体、サービスの利用者に至るまで円滑に流れるべき情報が何らかの原因で滞っていることを示しています。このような情報の滞りも利用者減の大きな原因であり、施設を廃止する前に、出来るだけ滞りを無くす努力をすることが先決であると考えます。
 また、国が廃止の根拠としている「あり方検討会」には、視覚障害当事者が参加しておらず、当事者不在のままで決められた方針となっています。内閣府「障がい者制度改革推進会議」の「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」(6月29日閣議決定)によると、今後の障害者施策は、障害者が自ら選択した地域において自立した生活を営むことが出来るように支援することが求められています。今回の廃止方針は、地方の拠点を無くして中央に集中させようとするものであり、こういった障害者施策の方向性に逆行するものです。
 塩原視力障害センターは、臨床実習室における施術、湯けむりマラソンスポーツマッサージボランティア、敬老週間にちなむ敬老施術など、那須塩原市民をはじめとする栃木県民の方々との協力により様々な活動を行ってきました。また、地域の中にも、点訳や音訳等のボランティア活動が根付き、支えていただきながら歩行訓練やあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの訓練を行ってきました。こういった取り組みは、地域の中で視覚障害者が自立した生活を送るモデルにもなり得るものだと考えます。特に、東北、北関東、甲信越地方には、視覚障害者に対する自立訓練・理療教育が一貫して行える拠点施設はなく、民間や地方自治体の事業として行うにはまだまだ困難な状況にあります。そういう意味で、塩原視力障害センターが視覚障害者に対する福祉施策に果たす役割は大きなものがあります。また、塩原視力障害センターが栃木県内にあり、栃木県との協力関係を維持することにより、今後も県民の健康増進活動、福祉施策に寄与することができるものと考えます。
 県議会におかれましては、塩原視力障害センターの存在意義と、廃止方針の問題点をご理解いただき、「塩原視力障害センターの存続を求める意見書」を国に提出していただけますよう、心よりお願いいたします。

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