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請願・陳情 議決結果一覧

詳細情報

請願・陳情名

第32号 (平成11年) 「少年法改正の撤回を求める意見書」の採択を求める陳情

受理年月日

受理日:平成11年12月10日

付託委員会

付託委員会:総務企画委員会
付託日:平成11年12月15日

紹介議員

議決結果

議決日:平成12年3月24日
議決結果:取下承認

内容

(陳情の趣旨)
 今、子供たちは学校・家庭・地域で様々な困難を抱え、苦しんでいます。その苦しみのために自分を見失い、非行という形で問題提起をしています。
 このような中で、法務省や自民党の一部の人たちにより少年法が改正されようとしています。しかし、その内容には多くの問題があります。問題提起をしている子供たちにとり必要なのは、何なのでしようか。少年法の罰則適用年齢を引き下げ、中学生を刑務所に送れるようにすることで抑止力になるのでしようか。
 法務省構想にあるような審判への検察官立ち合いや拘束期間の延長、検察官の抗告権付与や、裁定合議制度の導入が、審判を受ける子供たちの成長にどのような影響を与えるのか、子供たちが真実を語れなくなり、その結果えん罪が見逃されてしまうのではないか等々、大きな不安を感じずにはいられません。
 少年法は、非行に陥った子供たちの社会的・精神的成長を、教育と福祉によって支援することを目的としています。今回の改正は、子供の視点による議論が抜け落ち大人の都合だけが語られ、援助を必要としている子供たちを切り捨て、追いつめるだけではないでしようか。社会から隔離され適切な教育を受けないまま、差別を感じた子供たちが、反社会的集団に入団することも考えられます。
 これらの問題点について、子供を含む幅広い国民の間で議論が十分になされないままに改正を急ぐことは、日本も批准した「子どもの権利条約」や一九九八年六月の国連子どもの権利委員会の「日本政府に対する勧告」の趣旨を無視するものと言わざるを得ません。
 他方で、少年犯罪を含む犯罪の被害者が放置され、被害者の権利が無視されてきた現実がこの改正の動きを促す一つの要因となっていることは否定できません。被害者のための心理的・法的・経済的援助制度を含む総合的な被害者救済制度の確立と、報道等による二次的被害の防止こそ、早急に行われるべきです。
 私たちは、子供の視点からの検討が抜け落ちた性急な少年法改正の議論を転換し、子供にかかわる多くの県民が、次世代を担う子供の権利と希望を守るという視点から、改めて少年法の理念に立ち返ること、そして今必要な被害者救済制度を確立することを求めています。以上の趣旨を踏まえ、貴議会が「少年法改正の撤回を求める意見書」を採択し、国会に送付してくださいますよう陳情いたします。
(陳情事項)
一、刑罰適用年齢の引き下げや、法務省構想による少年審判への検察官関与、身体的拘束期間の延長、検察官への抗告権付与等、子供たちをますます追いつめることになる少年法改正は行わないでください。
二、少年法改正は、子供の養育、教育、心理、医療、更正、福祉等に携わる広範な、子供を含む市民による十分な議論を尽くし、かつ「子供の権利条約」や「国連子供の権利委員会勧告の趣旨」などをいかして、子供の視点から慎重に検討してください。
三、犯罪被害者の権利を守るための心理的支援や法的・経済的援助制度を含む、総合的被害者救済制度を早急に確立してください。
四、少年事件に際しては、取調べの段階から少年の希望する付添人を同席させるか、取調べの状況を終始録音する等の、自白の強要がなされないような方策をとることを要望します。
五、警察官・検察官・裁判官・家裁調査官・弁護士・教諭・保護司など、子供に関わる職種の人たちに少年法の理念、教育基本法、児童福祉法および「子供の権利条約」等についての研修を実施してください。

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