栃木県議会トップ

請願・陳情 議決結果一覧

詳細情報

請願・陳情名

第14号 (平成11年) 「組織的犯罪対策三法の廃棄を求める意見書」の提出を求める陳情

受理年月日

受理日:平成11年8月23日

付託委員会

付託委員会:文教警察委員会
付託日:平成11年9月29日

紹介議員

議決結果

議決日:平成11年10月7日
議決結果:不採択

内容

 (陳情の趣旨)
 今年八月十三日に閉会した第一四五回通常国会において組織的犯罪対策三法が成立しました。しかし、その成立の過程は、大きな批判の声に包まれながらのいわゆる「強行採決」による非民主的な手続きだったと言えましょう。六月一日の衆議院法務委員会を民主党、社民党議員欠席のまま「強行採決」し、八月九日の参議院法務委員会では、審議の速記録の中にも採決の経緯が記されていないほど、不法なやり方で「強行採決」を断行しました。日本弁護士連合会や日本ペンクラブ、日本青年団協議会、情報労連(NTT職員ら通信事業者が結集している。)、新聞労連など各団体に加え、多くの市民らが大々的に反対の声をあげている中で、法案の審議を行えば行うほど、法案の持つ問題点が明らかになってきました。会期末ぎりぎりまで追いつめられた政府側は、そこでなりふり構わず強権的に「数の論理」だけで強行採決を行い、委員会審議の規則すら無視した暴挙を用いて法律の成立をみたことだけでも、議会制民主主義を侵す許し難い行為であったと言えましょう。
 批判の集まった盗聴法(通信傍受法)では、まず、@犯罪に該当するかどうかを判断する試し聞き(予備的盗聴)、を行えるとしています。このことは、警察側の恣意的な判断によって無限定に市民の通信が盗聴される可能性を残しています。また、A犯罪を犯す恐れのある人物の周辺を「犯罪の起きてもいない段階から」盗聴出来る「事前盗聴」が認められています。そもそも犯罪の起こってもいない段階から警察が犯罪捜査を始めること自体、特定の人物に対する著しい人権侵害でありましょう。この「事前盗聴」という捜査方法によっても、実際には犯罪に関係のない通信が次々と盗聴されてしまう危険があります。しかもB政府は盗聴の出来る犯罪は四つに絞ったから危険はないとしていますが、「別件盗聴」という名目で、裁判所の令状もないまま、「死刑または無期もしくは短期一年以上の懲役、または禁固にあたる」犯罪は全て盗聴操作が可能です。その中には、有印公文書偽造・同行使など幅広い犯罪も含まれており、ここでも盗聴捜査の行き過ぎが大いに懸念されます。
 一九九八年十月、日本の警察は国連規約人権委員会から、その人権抑圧的な体質を大いに批判され、「代用監獄制度」を初めとする多くの改善勧告が出されています。いわゆる先進国の中で最も人権抑圧的だという批判の強い日本の警察に、さらにまた「盗聴」という捜査方法を認めてしまうならば、どれほどの弊害が引き起こされるのか予想もつかないほどです。人権擁護の立場から盗聴法を厳正に運用できるとは到底考えられません。
 また、すでに盗聴を合法化している米国でも実際に犯罪捜査に関連した通信は全体の一七%に過ぎず、マフィアの検挙にはほとんど役だっていません。日本でも暴力団や国際的なマフィアの取締りのために盗聴法を導入したいとしていますが、プロのそれらの集団は盗聴法に掛かることはないと言え、結局被害を受けるのは一般市民です。
 以上を勘案すると、なぜ盗聴を合法化させたいのか、その本音が合法的な市民団体、宗教団体、労働団体などの通信傍受と監視にあるのではないのかという懸念を表明せざるを得ません。
 つきましては貴議会におきまして「組織的犯罪対策三法の廃棄を求める意見書」を採択していただき、内閣総理大臣及び法務大臣に提出してくださいますようお願い申し上げます。
 (陳情事項)
 「組織的犯罪対策三法の廃棄を求める意見書」を採択し、内閣総理大臣・法務大臣に送付すること。

メニュー