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第25号(平成29年) テロ等準備罪の新設に関する請願書

受理番号 第25号
(平成29年)
受理年月日 平成29年5月19日
付託委員会 県政経営委員会 委員会付託年月日 平成29年6月2日
議決結果 不採択 議決年月日 平成29年6月14日
紹介議員 佐藤栄
松井正一
第25号(平成29年)
  テロ等準備罪の新設に関する請願書

要  旨
1 請願の趣旨
 テロ等準備罪(共謀罪)を新設する組織犯罪処罰法の改正に反対する意見書を政府ならびに国会に提出するよう求める。

2 請願の理由
 (A)請願者について
 私たちは、平和安全保障関連法(いわゆる戦争法)の廃止及び立憲主義の回復を課題として結成した県内の市民団体の連携組織(現在52の団体)です。
 テロ等準備罪は、平和安全保障関連法とも関連して戦争の準備に繋がり、国民の自由と人権を奪う危険性が高いと考えますので、この請願を行うものです。
 (B)テロ等準備罪に反対する理由
 政府が今国会に上程しているテロ等準備罪は過去3回にわたり国会に提出され、いずれも廃案となった「共謀罪」と本質的に同じです。
 私たちは、以下に示す少なくとも5つの理由からテロ等準備罪(以下では「共謀罪」という)の新設に反対します。
  (1)実行され結果が生じた犯罪を罰するのが近代刑法の原則です。しかし本法案は実行の「準備」よりさらに前の「計画=共謀」を罪に問い、しかも277もの広い範囲にわたる犯罪を対象にしています。これは刑法の行為主義原則に反し、心の中にある計画の処罰を可能にする原理的改悪で、内心の不可侵を定めた憲法第19条に違反します。
  (2)まだ心の中だけにある計画=共謀を処罰対象にしますので、それを立証するため警察・司法当局は盗聴、自白の強要、密告の奨励、通信傍受などの捜査手段を用いることになり、恒常的に市民社会の広い監視を行うことが正当化され、市民団体、労働団体などすべての団体が監視の対象となります。その結果、極端な監視社会が生まれ、民主主義社会の基礎である国民の集会、結社、言論の自由など表現の自由や通信の秘密(憲法第21条)を著しく侵害する危険性があります。
  (3)過去の共謀罪法案における「団体」の語が「組織的犯罪集団」に変えられたから「一般の人々は対象にならない」という政府の説明は信用できません。治安維持法制定時(1925年)にも同じ説明が繰りかえされ、実際は正反対になった苦い歴史的経験があります。事実、「テロ組織」にも「組織的犯罪集団」にも具体的定義や限定がなく、捜査当局による恣意的な判断次第でいかなる団体の一般市民にも拡大適用される危険性があります。
  (4)政府は「共謀罪」の制定なしには「東京五輪も開けない」などと説明し、テロ防止を強調しますが、国民をいつわる口実にすぎません。日本にはテロ関連事案(立法事実)が皆無です。国連等によるテロ防止関連の国際条約13本すべてを批准し、国内法でもテロで想定される重大犯罪には「実行」前の早い段階から取り締まる制度が整っています。しかも法案が対象とする277の犯罪の6割はテロに無関係です。
  (5)「国際組織犯罪防止条約」締結のために本法案の制定は必要ありません。国連は共謀罪をつくらなくても「組織的犯罪集団に有効な措置」を講じることでの代替を認めています(立法ガイド第51条)。アメリカのように共謀罪条項を留保しての批准も可能です。「共謀罪」の制定によることなく、上のいずれかの方法で直ちに条約を批准すべきです。
3 むすび
 本法案は国民の思想や良心の自由の制限につながる重大問題を含んでいます。私たちは今年2月に「共謀罪の制定に反対する総会決議」を行い、署名、講演会、学習会、示威行動を通じて同法案の危険性を市民の皆さんに訴えてきました。
 全国でも政党、日本弁護士連合会、刑法学者、憲法学者、日本ペンクラブ、ジャーナリスト団体、国際NGO、キリスト教団体、NPO、中央・地方の新聞など、多くの団体が反対の声明や批判の声をあげています。
 地方議会から政府・国会への意見書の上程も種々報道されています。
 私たちは、貴議会におかれましても、是非、この問題につきご検討のうえ、政府ならびに国会に対し当該法案に反対する意見書の提出をしていただきたいと考え、本請願の採択をお願いするものです。
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