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第22号(平成24年) 弁護士人口激増に関する陳情

受理番号 第22号
(平成24年)
受理年月日 平成24年12月7日
付託委員会 県政経営委員会 委員会付託年月日 平成24年12月21日
議決結果 審査未了 議決年月日 平成27年4月29日
紹介議員
第22号(平成24年)
  弁護士人口激増に関する陳情

要旨
1 陳情の趣旨
 「弁護士人口激増の社会に与える諸問題に鑑み、司法試験の合格者数を年間1000名程度にすべきである。」との意見書を国に提出するよう求める。

2 陳情の理由
(1) 弁護士人口の激増は、新人弁護士の就職難→法科大学院への志願者の激減という問題を生じさせています。
 これは、法曹志望者を激減させる大きな要因となっており、この問題を放置することは法曹の質的低下を招くおそれのある問題です。
 よって、弁護士人口の激増という問題を早急に解決することが必要であり、趣旨のとおり陳情するものです。
(2) 弁護士人口について
 平成14年3月に当時の内閣は、「平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3千人程度とすることを目指す」と閣議決定しました。当時1000人であった合格者数を3倍にするというものでした。この閣議決定は前年の司法制度改革審議会の意見書に添ったものです。
 実際には、法務省の司法試験委員会も年間2000人程度の合格者にとどめておりますが、それでも上記閣議決定当時約1万8000人余りであった弁護士人口は、10年後の本年には3万4000人ほどとおよそ2倍近くになることが確実な状況です。また近時マスコミで報道されておりますように、新人弁護士の就職難が激化し、弁護士会への登録さえままならない司法修習修了生が多数生じております(このような新人弁護士の就職難から、法科大学院志願者自体が激減しているのが実情であり、今後多様な人材が集まらなくなる畏れもあります。)。また、何とか登録して弁護士を開業するにしても、先輩弁護士の指導を受けられない、いわば研修医が研修を受けないままメスを振るうような新人弁護士も生じています。このまま弁護士人口の激増が続けば、新旧の弁護士の間に法律家としての知識や技能の面で格差が生じかねません。一方、法律相談や事件処理を依頼する市民が弁護士の質を見分けるのは至難の業であるため、質的に低下した弁護士が増加する状況が続くならば、不適切な助言や事件処理により市民が「被害」を被る事態が予想されます。
 もちろん、法曹人口というからには裁判官や検察官も含まれるのですが、これらは実際上ほとんど増加しておらず、司法試験合格者の急増イコール弁護士人口の急増というのが実態です。
 そもそも、我が国には他国に例を見ない司法書士・税理士・行政書士・社会保険労務士・弁理士などの弁護士の隣接士業が存在し、立派にその職責を果たしております。また、我が国は米国などと異なり「和をもって尊し」とする国民性があり、なんでも法と裁判で決着をつけるという社会ではないと思われます。にもかかわらず、弁護士人口激増状態がこのまま続くならば、何でも裁判で決着をつけるという「訴訟社会」を招来させ、ひいては司法全体が巨大ビジネスと化して、弁護士費用の高騰も危惧されます。このように、現下の弁護士人口激増は市民の法的利益や権利・自由の適正な確保・実現という観点からしても重大な問題となっております。
 今後、我が国の人口は減少の一途をたどることが確実視されてもおり、事実近時全裁判所の新受件数は平成13年の約563.2万件から平成23年の約405.9万件と減少しております。司法制度改革審議会意見書が前提とした社会的条件は実際と異なっているのです。
 また、本年4月20日には、総務省が、司法試験合格者数に関する年間数値目標について、これまでの達成状況との乖離が大きく、また、法曹・法的サービスへの需要の拡大・顕在化も限定的であるとして、弁護士増員政策を見直すことを勧告しました。供給過多で質の低下を懸念してのことと報道されております。
(3) 以上の状況ですので、貴議会におきまして本問題について前記件名の意見書の提出をいただきたくお願い申し上げる次第です。
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