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第73号(平成18年) 最低賃金制度の改正を求める陳情

受理番号 第73号
(平成18年)
受理年月日 平成18年2月20日
付託委員会 経済企業委員会 委員会付託年月日 平成18年3月3日
議決結果 不採択 議決年月日 平成18年3月20日
紹介議員
第73号(平成18年)
  最低賃金制度の改正を求める陳情

【陳情の趣旨】
 最低賃金制度に関し、国に対して別紙の意見書を提出するよう陳情します。
【陳情の理由】
 政府は日本経済の現状について、「バブル崩壊後のプロセスを脱した」と宣言しています。確かに上場企業の業況は好転しており、05年9月中間決算は当初予想を上回る業績を達成、3月通期決算では4期連続の増収・増益が確実視されています。しかし、活況を呈す大企業とは異なり、地域経済や中小企業をめぐる状況は厳しく、労働者の雇用や生活に改善の兆しは見えません。鋼材価格等が上がる中で下請単価は低減され「非正規」不安定雇用が増大し、賃金・労働条件は切り下げられています。失業率は若干低下したものの、増えたのは不安定雇用ばかりです。とりわけ青年の雇用情勢は厳しく、正規を希望してもパート・臨時、派遣、請負などで働くことを余儀なくされたり、求職も就学も諦めて「ニート」となる人も増えています。「非正規」労働者は今や雇用労働者の3割を占め、業種によっては「基幹的」「典型的」労働となっていますが、低賃金はいっこうに改善されません。個別企業の努力で市場原理に抗して低賃金を引き上げることは容易ではなく、最低賃金制度によって競争条件を揃えながら社会政策的に引き上げることが求められています。
 こうした重要な役割をもつ最低賃金制度ですが、現在の、わが県の地域別最低賃金は652円にすぎず、フルタイム(8時間×22日=176時間)で働けたとしても月収11万円余にしかなりません。およそセーフティ・ネットとしての機能をはたさない、このような低額の最低賃金は抜本的に引き上げる必要があります。
 また、今の最低賃金制度は、隣県との不合理な格差や、全国的に一貫した仕組みでないために社会保障制度(生活保護制度や年金制度など)との整合性、下請単価・工賃、米価・自家労賃等との連関がないなど問題を抱えています。さらに最低生計費には非課税が近代税制の基本ですが現行制度ではこれも守られていません(生活保護費は非課税です)。
 憲法は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(第25条)を国民に保障し、働く際の労働条件は「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」(労働基準法第1条)と定めています。働けば貧困に苦しまず生活できて当然であり、これを保障する最低賃金制度は、最低賃金額について「労働者の生計費、類似の労働者の賃金、通常の事業の支払い能力を考慮して決める」(最低賃金法3条)としています。
 今の最低賃金の実態は、こうした法の趣旨をみたしていないといわざるをえません。最低賃金法を改正し、生計費原則をみたした最低賃金額を実現すること、全国一律の制度を基本として中小企業の下請単価の底支えとすることなどをもって、地域経済の回復と持続的発展をはかることが求められています。
<別紙>
   最低賃金の引き上げを求める意見書(案)
 最低賃金制度は、労働条件改善による労働者の生活の安定と地域経済の活性化、企業間の公正競争ルールの確立の上で重要な役割を担っています。都道府県ごとに定められる地域別最低賃金は、全国的な整合性を図るとして、毎年、中央最低賃金審議会が作成する「目安額」を参考に、地方最低賃金審議会の審議を経て改定されています。
 しかしながら、その改定は、一般労働者の賃金動向に比べてわずかな額にとどまるとともに、そもそもの水準が低いため、わが地方の最低賃金額は時間額652円と著しく低くなっています。そのため、県下パート労働者、派遣労働者ら非正規労働者の賃金は低く抑えられており、青年単身者では1ヶ月10万円ほどの生活を余儀なくされている人が少なくありません。低賃金の蔓延は、社会保険料未納者の増加や、経済的自立ができずに結婚ができない人の増加につながり、少子化を加速させるなど、この国の社会基盤をあやうくさせる大きな原因となっています。
 以上をふまえ、政府においては最低賃金法を早期に改正し、社会保障制度との整合性をはかるべく、時間額を1,000円以上に引き上げ、欧米諸国で制度化されている全国一律最低賃金の確立を早期に図るとともに、最低賃金制度の周知徹底、監督体制の拡充など、一層の充実を図られることを強く要望します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

2006年 月 日
                       栃木県議会議長
内閣総理大臣 小泉純一郎殿
厚生労働大臣 川崎 二郎殿
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