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第15号(平成15年) 栃木県立足尾高等学校を「日本ものづくり高校」、もしくは統合高校「足尾分校ものづくり科」の設置について

受理番号 第15号
(平成15年)
受理年月日 平成15年9月16日
付託委員会 教育環境対策特別委員会 委員会付託年月日 平成15年9月26日
議決結果 不採択 議決年月日 平成16年3月24日
紹介議員 小曽戸廣
第15号(平成15年)
  栃木県立足尾高等学校を「日本ものづくり高校」、もしくは統合高校「足尾分校ものづくり科」の設置について

一 請願の趣旨
 栃木県立高等学校再編前期実行計画を再検討され、栃木県立足尾高等学校を「日本ものづくり高校」として新たに創立、もしくは統合する新高校の足尾分校として、新たに「ものづくり科」の設置を請願するものです。
二 請願の理由
 このたび発表されました「栃木県立高等学校再編前期実行計画」は、栃木県教育委員会の「地域の実情を無視した計画」であると言わざるを得ません。
 ただ単に、財源不足から来る教育施策の後退を、あたかも少子化に起因する高校再編にすり替えただけのものであり、いままで次代を担う子供たちを育んできた地域の教育力や教育環境、経済不況の影響をまともに受けている家庭の経済事情などを全く考慮しておらず、教育振興に背を向けた政策であると思わざるを得ません。
 足尾町は、江戸時代から明治・大正・昭和の時代にいたるまで、日本の近代化を支え続けた町であることは、町民はもとより栃木県民や多くの国民の知るところであります。
 なぜ足尾町が日本を支え続けてきたか、なぜ日本を支えることができたのか、それは足尾銅山から産出された「銅」であり、銅を掘るために集まった人々の「教育に対する強い情熱」に他ならないものです。
 現栃木県立足尾高等学校は、その前身を昭和八年十月八日開校した私立古河足尾銅山実業学校に発し、その後、足尾町立足尾高等女学校と合併して、足尾町立足尾高等学校になり、昭和二十五年栃木県立足尾高等学校となったことからも分かるとおり、地域と教育ということでは、他の地域には見られない歴史があります。
 また、産学共同などの言葉が近年使われておりますが、足尾高等学校では当初から社会に直結した教育が行われており、かつては「鉱業科」があり卒業生は、足尾銅山の優秀な技術員として地元企業に採用され、「普通科」はより高度な教育を求め進学の道を選び、「機械科」においては現在にもその血脈が引き継がれ、小規模校となった今でも、他に勝るとも劣らない優秀な成績を残しています。
 近年だけでも、平成十五年六月「高校生ものづくりコンテスト栃木県予選優勝・関東大会出場」、平成十四年六月「同コンテスト栃木県予選三位」、平成十二年「ジャパン・マイコンカーラリー全国大会出場」、平成十一年十月「バッテリーカーレース全国大会優勝」、平成十一年五月「ワールドエコノムーブ全国大会ジュニアクラス三位」、平成十年「一九九八ワールドエコノムーブ全国大会高校生クラス全国五位・七位」、など技術力の高さでは常に高校のトップクラスを維持し、高校卒業者の就職率が低下している中、栃木県教育委員会が危惧している就職難は、足尾高校機械科卒業生に限っては無関係であります。
 こうした技術力は、伝統から生まれるもので一朝一夕に教育できるものではありません。まして、今回の計画は機械科を持たない「日光高校」との統合であり、足尾高校の技術力を失うばかりでなく、「ものづくり日本」の趣旨にも反するものではないかと思われます。
 また、高校がスポーツだけの部活動であるかのような錯覚をしてしまう人数構成も全くのナンセンスであり、こうしたものづくりにラグビーやサッカーなどの試合ができる人数を持って論議することは、「ものをつくる」という人間本来の活動を無視したものであり、全く論外であります。
 さらに、通学の問題があります。通学距離が長くなればなるほど問題になることは、交通費など経済的負担が大きくなることと、忘れてはならないことは、通学時間にとられ、学習する時間が少なくなることであります。もちろん部活動や課外活動にも影響が生じることになるわけです。
 小規模校は、概して辺地や過疎地に多く見られます。栃木県教育委員会では、「だから統合して」といい、切磋琢磨の機会が増える、団体競技の活動が可能になる、教科・科目の選択肢が増える、などと明示していますが、通学に部活動をする時間を奪われては、何の意味を持たないばかりか、限られた生徒に極度な負担を強いる結果になると言えます。
 また、高校に入学してからの選択肢はどれ程なのでしょうか。選択するのは主に中学校時代であり、たくさんの学科があっても選択できるのはひとつ。そうであれば、選択肢の中に単科高校があっても良いのではないでしょうか。大学では当然のようにあります。大きなメリットがあるからです。大学で一般教養に当たる教科は、単科であれば授業時数が少なくて済み、他校からの兼務も可能ではないでしょうか。
 単科高校であるので小規模校で十分だと考えますし、大勢いる学校で学びたい子供は大規模校で学ぶ、少ない人数の中で学びたい子供は小規模校で学ぶ、という選択肢があっても良いと思います。
 そこで提案です。
 栃木県教育委員会の考えに逆行するものでありますが、足尾高校を「日本ものづくり高校」として位置づけ、「ものづくり科」のみを設置する。生徒募集は日本全国に向けて行い、現在ある足尾高校寮や寄宿舎を改修して通学困難者に対応する。
 ドイツのマイスター制度に倣い、将来の各製造業の担い手になる人材育成であることから、不足する講師陣は製造業界と連携し、優秀な技能者の派遣を要請する。また、技能優秀な退職者を講師に依頼するなど、人件費の面でも削減できると考えます。
 さらに、単独校が諸般の事情で無理である場合は、ぜひ新統合高等学校の分校として、伝統と技術を失わないよう前述した単科を設置していただきたく、ここに請願するものであります。
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